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【選手インタビュー】マクドナルド山本恵理 選手

2017.06.06
コラム


パラスポーツのイベントで、パラ・パワーリフティングと出会い、東京パラリンピックを目指して、日々練習されている山本恵理選手にインタビューしました。


 

 

現在、パラ・パワーリフティングをはじめて、11か月目ということですが、それ以前は何かパラスポーツにかかわることをされていたんですか?

生まれつき足が不自由なんですが、9歳の時に親に「パラリンピックにいけるよ、目指したら?」と言われて水泳を始めました。それが最初です。そのときにパラリンピックへの夢を抱くんですけれども、けがをしてしまって高校3年生のときに水泳はやめてしまいました。それで、パラリンピックの代表選手を目指すことができないので、「じゃあ次は裏方にまわろう」と思って、メンタルトレーニングの勉強を始め、大学院までいきました。そして、そのあとはカナダに。



カナダに?どういうきっかけでいかれたんですか?

2008年に、パラリンピックの水泳代表チームのメンタルトレーナーとして、北京オリンピックに行かせていただきました。そのときに言葉が通じないことで選手に安心感を与えられていないことに気が付きました。北京オリンピックは結局、自分が役に立ったのかわからないまま終わってしまい、帰ってきたときに、「言語も状況もわからないメンタルトレーナーになるよりは、ちゃんとそういうところもサポートできる人になろう」と思って、始めは英語を学びにカナダへ行きました。



始めは、ということはカナダで英語以外のこともされたんですか?

はい。最初は語学留学だったんですけれども、勉強することが好きだったので、スポーツ心理学なども向こうで学べたらいいなと思って。その間に、アイススレッジホッケーを始めて、カナダ代表に選ばれたりして、結局6年間もいました。



代表に選ばれるなんてすごいですね!そんななか日本に帰国されたきっかけはなんだったんですか?

パラリンピックが2020年に東京に来ることが決まったことです。私は日本でもカナダでもパラリンピックのためにスポーツをしたり、勉強をしたりしていたので、そこには必ず関わったほうがいいんじゃないかとアドバイスをいただいて、帰ってきました。私の人生はパラリンピックが主なので。人生の柱です。



途中でいやになったり辛くなったりはしませんでしたか?例えば、先ほどおっしゃっていた水泳をけがで続けられなくなったときとか。

今思えば、確かにつらかったのかもしれないんですけれど、そのときは何か大きなものをなくしたという感覚はあまりなくて、自然と勉強のほうにシフトしていきました。落ち込んだりとかも全くしなくて。パラリンピックへの見方を少し変えたというか。どうしてもパラリンピックという世界にとどまりたかったんです。



本当にパラリンピック中心の人生ですね。

そうですね。私、趣味とかもあまりないんですよ。強いてあげるとすれば、パラスポーツを観に行ったりとか、リオパラリンピックの動画をみて「あ、こういう風に(おもりを)あげるんだな」って(パラ・パワーリフティングの競技を)研究したりとか、そういうのをやっている時間がすごく楽しいんです。なので、私はやっぱりパラリンピック一色だなって感じることはよくありますね。あとは食べることも好きです(笑)



パラ・パワーリフティングっておもりを持ち上げるので、苦しい競技だと思うんですが、続けることができる理由や原動力はなんですか?

ただただ楽しいからです。まず、つらいと思ったことがないんですよね。まだ、11か月だからって思われるかもしれませんが。でも、やめたいって思ったことが実は1回だけあります。それはいつかというと、先日、買い物に行って洋服の試着をしたときです。肩に筋肉がついて大きくなったから、女の子の服がすべてはいらなかったんですよね。そのとき、はじめて「やめたい!」って思いました(笑)でも、それ以外で、例えば重さでやめたいとか、練習がつらくてやめたいとか思ったことはないですね。日々、目に見えて成長している自分を実感できるので、そういう意味ではモチベーションがあがるスポーツだなと思います。

あと、普段、ジョギングとかマラソンとかなにかスポーツをされている方も、なんでやっているのかといえば、やっぱり楽しいからですよね。あとは達成感が気持ち良かったりとか。本当に同じだと思います。パラスポーツもスポーツも。成功体験をしっているので、きっとこれを抜けたら、いいことがあるってわかるんですよね。それを目標に、落ち込んだ時も頑張れます。



常に前向きな山本選手の話を聞いていると、なんでもできるような気がします。

世間の人って結構、障がいのある人たちに対して、これは出来ないだろう、不可能だろう、っていう風に見ることが多いですよね。その不可能だと思えることを可能にできるのが、パラリンピアンだったり、パラアスリートだったりするんです。一番見て、考えてほしいのはどうやってその不可能を可能にするのか、です。「その理由はなんだろう」って考えると、工夫なんですよ。それぞれが障がいのあるなしに関わらず、みんなで何か一緒にしようと思ったときに工夫をして、一つの目標に向かっていく、その努力を知ってほしいなと思っています。



そうなんですね。そのほかに、パラ・パワーリフティングの見どころや魅力はありますか。

一般の方からすると、パワーリフティングって一連の動作だと思うんですよね。ラックからとって、おろして、あげて。でも、私はこの中に三つの動作があると思っています。一つめは、とったあとにゆっくり胸の上におろしていく動作。この動作は力を抜いておろしているわけではなく、力を入れてコントロールしながらおろしているんです。二つめは、胸の上でしっかり止める動作。ここで少しでもバウンドすると失格になってしまうんです。そして、三つめは、勢いよくスピードをもってあげる動作。あげる重量も大事ですが、私はそこにプラス技術点みたいなものがある気がしていて、やはりうまい人はとても綺麗だと思います。なので、試合会場では、繊細かつ大胆なその綺麗さをぜひ観てほしいです。300kgあげるんだ、400kgあげるんだってことよりも、自分があげられる重量を綺麗にあげる人たちがたくさんいるので、日々の成果がそこに出ているんだなってところわかって、見てほしいですね。

あと、いろんなところにかっこいい筋肉がついている男性もみられるので女性にもおすすめです(笑)



最後に、そんな山本選手のいまの目標はなんですか?

パラ・パワーリフティングの選手として、強くなることです。パラ・パワーリフティングを始めたときから、130kgをあげることを目標にしています。また、私は去年始めたばかりなので、ほかの誰よりも、競技経験が浅いです。なので、2020年までに出られる試合の数もほかの人よりも少なくなります。やはり、これは経験がものをいうところもあると思うのですが、そんななか一回一回を大切にしながら、試合に挑んでいき、最大限に経験を得られるようにしています。そして、2020年に向けて、パラリンピックの22競技がこれからどんどん注目されてくると思いますが、パラリンピックが来たときに、初めてその競技を観る人もたくさんいると思うんですよ。そのときに自分も強くなって、観てくださる人たちに「あ、この競技って面白いな」と思ってもらえるような選手になりたいです。



日時:2017年4月3日@日本財団ビル パラスタ

取材/武井誠一郎 

撮影/飯田将茂 

文/山本光希 



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