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【選手インタビュー】 樋口 健太郎 選手

2018.03.12
コラム


樋口 健太郎 選手 2/22 合宿訪問インタビュー

聞き手:山村柊介、尾崎惇史、吉田彫子

写真:尾崎惇史


〇パラ・パワーリフティングを始められたのはいつからですか?

3か月前ですね。11月です。


〇全日本選手権(2017年12月17日開催)も出られてましたよね?

出たのが12月ですね。


〇始められてから1か月で出られたんですね。パラ・パワーリフティングを始めたきっかけというのは何だったんですか?

きっかけはもう、切ったんで(脚を)、なんかやっていかないとつまんないなと思って、それでですね。で、もともとアスリートを指導する方だったんですけど、自分で競技ができるならやりたいと思って、それで、何が手っ取り早く2020年(東京パラリンピック)で行けそうかなって模索してて、まずはパラパワーだな、と思って出場してみました。ただ、これからももっとパラの競技には参加してみたいと思っています。


〇他の競技にも、ってことですか?

はい。それは2020年が終わってからですけど、まずはパラパワーをやります。


〇パラパワーを始める前に、他にやることを検討されたスポーツはあったんですか?

他はね、カヌーか卓球か、あとはスノーボードですね。


〇ちなみに、その前アスリートを指導されていたのは、何を指導されてたんですか?

K-1選手のトレーナーなどをやっていました 。

(1分ほど他選手の練習に見入っておられました)

すみません、どうぞどうぞ。


〇怪我をされた際に、パラリンピックというのはすぐに頭に浮かんだのですか?

もうすぐにそれは浮かびました。


〇その気持ちの切り替えがすごいなと思います。

そうですかね?(笑) ははは。


〇2020年の東京に出なければ、という思いだったんですね。

そうですね。そこ(パラパワー、パラカヌー、パラ卓球)しか2020で出るにはチャンスがなかったかなと思っています。


〇これまでは何かご自身でスポーツはされていたんですか?

基本的にはまじめにやってなかったですね(笑) 空手とかも一応やってはいたんですけど、あまりそういう競技が好きじゃないんで、遊びは好きなんですけど。遊びとか指導とかは。自分で競技に入って争っていくのは、あんまり僕は、っていう感じですね。


〇その中で、今、パラ・パワーリフティングはどういったところに楽しさや魅力を見出してやられていますか?

楽しさ…練習した成果がちゃんと出るところ。


〇結果が見えるところとか

結果が見えやすいところもですね。


〇今目標とされているところはありますか?

目標ですか。目標はいっぱいあるけどな…(笑) 大きなところでいうと、昔75㎏級って階級があったんですよ。その宇城さんと大堂さんの記録を抜くことです。

今の日本記録は正直楽勝なので。


〇ちなみにその75㎏級の宇城さんと大堂さんの記録というのは…

188㎏です。


〇188㎏…!!

すごいです。あの人たちはすごいです。


〇188㎏が目標という事ですが今の記録はいくつですか?

今は136㎏です。全日本の時のままです。


〇となると50㎏近くあることになりますか。

今は基本的には、どれくらいだろうな…まずは160㎏を目指してます。でも188㎏は2020年の5月までには達成しようと思っています。そういう目標は明確です。


〇どのようにこの目標を設定されたのですか?

今のワールドレコードから、2020年で8位以内に入るには何㎏あげなきゃいけない。まずはそういう設定で、じゃあ1年ずつでどれくらい上げていくか、というのをトレーナーと一緒に出してもらってます。宇城さんと大堂さんの記録も大体それくらいなので、やっぱり190㎏位行かないと、結局は2020もそうですし、大堂さんたちの記録にも届かないという事になります。


〇ありがとうございます。ちょっと話が変わってしまいますが、さっきやる側の魅力としては結果が見えやすい、とか、やった分だけ返ってくるというお話でしたが、見る側に視点を変えたときに、どういった点がパラパワーリフティングの魅力かなと思われますか?

緊張感。


〇それはどういうところの緊張感ですか?

上げる前ですね。


〇私も先日の全日本選手権を観戦したのですが、それはものすごく感じました。上げる前に緊張感があって、上げ始めたら会場が盛り上がっていく。あれはすごかったですね。あの時って樋口選手確か入院中だったんですよね?

今も(笑)


〇え、今もなんですか!?

今もなんです(笑) すみません(笑)


〇そこからのバイタリティはものすごいですね。

でも、みんなそうじゃないですか?こういう競技をやってる人って。結局、障がい者の人って落ち込んで家にこもってしまう人って多いじゃないですか。


〇そうなんですか?

そうなんですよ。だからそういう面で見たら、ここに来てる人はみんなやっぱりすごいんじゃないですかね。と僕は思います。


〇さっきの昼休みの時も、皆さんでかなり楽しそうで明るかったですよね。皆さん仲が良いんだなぁ、というのを感じたんですけど、どうですか?

ああー何だろう。やっぱり積極的に話してくれるから、おれはあんまり喋る方じゃないんですけど、話してくれるから自然と明るくなってくるんじゃないんですかね。


〇この競技をやっていて「どうやったら強くなれる」というのはご自分の中で明確にありますか?

明確にありますよ。そこは俄然。




〇どういうものですか?

正確さ。あとは「どういうトレーニングをしたらいいか」っていうことをしっかりできるか、ですね。ただ上げるんだったらそんなに難しくない。


〇トレーニングもメニューをしっかりと組んでという事ですね。

そうですね。


〇それっていうのはやり始めてから気づかれたことですか?

そうですね。


〇まだ競技歴がそんなに長くはないと思いますが…

長くないですよ(笑) だからまだ全然今も模索中で。ただ、どうやったら強くなれる、っていうのは見えています。


〇今のようなことが見えるようになったきっかけというのは、どのようなものだったんですか?

いやもうそれは実際に見て、ですね。見ないと分かんない。実際に見てやっぱり感じます。やってみると分かります。


〇僕も筋トレをすることがあったり、パラ・パワーリフティングも体験させてもらったことがあります。

やるなら本気でやってね。筋トレも。おれはトレーナーだったからさ。


〇はい(汗) どうも伸び悩んだり、きれいにあげようとしてもぶれたりするのは実感します。

大変でしょ?


〇全日本を観戦した時も、試技の判定の厳しさを実感しました。重さを上げる事よりも、正確性へのトレーニングの方が、難しかったりするものですか?

難しいし、分からないですね。分からないから「とにかくやっていけ」とみんな言いますね。やらないとできない、って。やらないと止められない、って。


〇またちょっとお話が変わってしまうんですけど、ご自身の性格面での強みや弱みってどのように思われていますか?

性格?性格は…バカですね。


〇えええ??それは強み弱みどちらでのお話ですか?

強み。あんま気にしないという意味で。


〇弱みのほうは…

もう一緒ですよ。あんま考えてないとこ。長所短所はそうですよ。


〇まぁ表裏一体のようなところはありますね。これまで、先程おっしゃった強みが活きたと思われることは何かありますか?

やっぱりやってきたことは身になって今まで来ているから。トレーナーやってきたことも、別に何も考えないでやってきたし、それが多少なりともこの競技に活きているんじゃないかな、と思いますけどね。意味分かります?(笑)


〇ひたすらつっ走ってきた、というところですか?

そうそう。高校生の時からトレーナーはやってきたんで。ずっとではないですけど、継続的に。そういう経験もパラ・パワーリフティングに活きているんじゃないかなと思います。


〇高校生の時にされてた、というのが空手の選手のトレーナーですか?

いや全然そんなんじゃないですよ。ぺーぺーですよ。掃除からずっとやってましたよ。バイトとかでも掃除からじゃないですか。ずっとそういうジムのそうじとか。でそこから、どういうことを教えていけばいいか、ってことを勉強していきました。


〇トレーナーをされたきっかけは何だったんですか?

それはもう単なる友達の紹介で(笑)


〇そうなると割と縁があってトレーナーになられて、それでジムとかウェイトとかも近しい距離にあって、という感じだったんですね。

そうですね。


〇先ほど、性格面での強みや弱みをお伺いしましたが、競技面での強みや弱みはどう思われますか?

他の人と比べて、身体(のつくり)とかどうしたら強くなるのか、というところは分かっているんじゃないかと思います。パラ・パワーリフティングの競技としては分かってないとこ

ろの方が多いですけど、どうしたら強くなっていくか、っていうところは分かっていると思っています。


〇逆に弱みはどう思われますか?

弱み……あまり人付き合いがうまくないところですかね(笑) あまりコミュニケーションがうまく取れない気が。どちらかというと。




〇それは性格的なとこですか?

そうです。性格ですね。

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あとであれやりますよ。(他選手がバーベルを何度も上げるトレーニングを指しながら)

そういうのが楽しいです。60㎏何回上げられるかって。

「何回いきました?」(トレーニングを見てた選手へ対して)

「47」(トレーニングを見てた選手から)

「えーーーー」(樋口選手・インタビュワー共に)

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・・・このあと、60Kgを何回できるか、樋口選手含め2名が挑戦した結果・・・

最初にトライしていたのが大堂選手で48回。

次に久保トレーナーがトライして50回。

インタビュー後、樋口選手もトライして51回!!!という結果になりました。(↓この動画です)


〇樋口選手、今日のNo.1じゃないですか!すごいですね!!

あと出しジャンケンと同じで後からやった方が有利だっただけです。

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その時の動画は<こちら>




〇趣味がたくさんおありなんですよね?

そうですね。一杯あります。基本的にバイクなんですけど。でもバイクは今は止められてて。死人も同然です(笑)


〇乗りたくてたまらないということですか?

はい。死のうなんて思ったことないけど、バイク乗れないのはつらいです…一番つらい。


〇スピードが好きなんですか?

いや全然。ブンブンやるのが好きなんです。全部が基本的に好きですね。何でも楽しくないと。


〇話が少し変わってしまうんですが、今僕たちがパラ・パワーリフティングのサポートさせて頂いているじゃないですか。それで「こういうところがあったらいいな」とか「こういうところを伝えてほしいな」ということはありますか?

それがあるんですよ。あるから今お話しているんです。これからなるべく結果を残して、メディアに出て、こういう”義足”の障がい者の人のことをアピールしていく広告塔、じゃないですけど、そういうことをもっとアピールしていきたいなと思っているんです。パラパワーの場以外でも、学校での講演会とかで話をしたり、”義足”で生活している人のことについての認知を広めていく事をしていきたいと思っているんです。

だからそういうのがもしあったら、お金とかじゃなくて、ボランティアでも全然やっていこうという事を考えています。



〇社会的な認知という事ですか?

そうそう。社会的な認知の向上。


〇私たちとしても、体験会をこの先企画するかもしれないので、その時にはどなたか選手にぜひお越しいただきたいと思っているんです。その際はお願いしてもよろしいでしょか。

呼んでもらえたら喜んで。

”義足”の人、ってあまりいないんですよ。


〇たしかに車椅子の方のほうが多い気がします。

そうそう。今日は僕含めて3人いますけど、中辻さんと田中さん。これ(今の義足)も仮なので色々もっとパラ・パワーリフティングに向いたものを開発してもらおうと思って、今リハビリしてる病院で作ってもらうように頼んでいます。


〇”義足”を持つ障がい者について認知を向上したい、というお話を頂きましたが、具体的にアピールしたいと思われるポイントはありますか?

ポイント?それはやっぱり、そういう障がい者の存在すら知らない人がたくさんいるから、そういう人に対してどうしていくか、ですね。車椅子の人だったらすぐに分かるけど、なかなかね。おれの場合は(ハーフパンツをはいて)アピってるから(”義足”)を見せるんですけど、例えばお二人(中辻選手と田中選手)の場合だと(長ズボンをはいているので)見えないですよね。でもぶつかったらアウトなんですよ。だからそういう事とかを認知してもらって、世間的に。できる事であれば障がい者に対する考え方を変えてほしい、ていうとこですね。

パラ・パワーリフティングをやっているという事と、先生をやっているという強みがあったので、それを使ってアピールしていこうかな、と。


〇私たちも微力ながら協力させていただければと思います。

宜しくお願い致します。

あ、あとですね、義肢装具士さんとも連携してて、こういう”義足”とかを体験できるんですよ。健常者の人も。脚を曲げて先に”義足”をつけて、とかね。そういうのもちょっと手伝っています。とにかく、そういう活動をたくさんやっていくんで、あまりコミュニケーションが苦手とか言ってられないですね(笑)

で、まずは結果を残さないとね。

あとは友達にデザインの会社の人もいて、“義足”の外面のデザインも考えたりして、魅せる“義足”にして競技をやろうかな、という事も考えてます。個人的には板バネをつけたい、とか思ったりしているんですけど、ちゃんとパラパワーにあったものをつけた方がいい。とも言われています。あと“義足”のモデルもやろう、と思っています。


〇“義足”のモデルというのは、どういうものなんですか?

実際に自分が“義足”をつけて、会社や企業さんに対して、歩き方を見せるというものです。

モデルって言ってもポーズを決めたりするやつじゃないです ( 笑 )展示会とかでのモデルって言った方がいいのかな。陸上やってる大西さん(大西瞳選手)とかもやってるのかな、たしか。“義足”アピってる、ってことを強調してもらいたいです。


〇最後に、 2020 年の東京パラリンピックの時、パラ・パワーリフティングがどうなっていたら理想か、ということを教えてください。

やっぱりオリンピックと一緒のレベルで盛り上がってほしいですね。注目してほしい。

例えば、今も平壌オリンピックやってるけど、これが終わってパラになって。じゃあそれがどれだけ注目されるか、って言ったらそんなに注目されないと思うんですよ。でも東京でパラやるから、それはちょっと違ってくるんで、それなりに盛り上がるとは思うんですけど、やっぱりオリンピックと同じくらい盛り上がってほしい、というのがありますね。

じゃあ、そのためにはどうするかって言ったら、やっぱりね、色々こうやってアピールしていく事が大切だと思います。




合宿中にもかかわらず、インタビューにご協力いただきありがとうございました!