広報インターンによる全日本観戦記
熱戦!第17回全日本パラ・パワーリフティング選手権大会(広報インターン記事)
第17回全日本パラ・パワーリフティング選手権大会が2016年12月3日、日本体育大学世田谷キャンパスで行われ、昨年のおよそ2倍にあたる41選手が、日頃鍛え上げた筋力を競いあった。
男子80キロ級では、2度のパラリンピック出場経験を持つ実力者・宇城元選手(順天堂大学)と、2010年から競技を始め、北海道の帯広で指導者としても活躍する斉藤伸弘選手(ワトム)が競り合う展開。第2試技終了時で
150キロを上げた斉藤選手が上回る。最終第3試技で156キロを成功させた宇城選手に対し、斉藤選手は1キロ重い157キロを上げきるが、バランスを崩したため失敗判定。試技を終えた斉藤選手のもとに優勝が決まった宇城選手が近づき、互いの健闘をたたえあった。
リオデジャネイロパラリンピックに出場した3選手のうち、男子49キロ級の三浦浩選手(東京ビッグサイト)、54キロ級の西崎哲男選手(乃村工藝社)が出場し、それぞれ優勝した。88キロ級の大堂秀樹選手は、肩の手術のため欠場した。
女子45キロ級では、全身の筋肉が萎縮する病と闘いながら競技を続けるベテランの小林浩美選手が60キロを上げて優勝。一方、41キロ級では車椅子バスケットボール経験のある成毛美和選手、55キロ級では山本恵理選手(公益財団法人日本財団パラリンピックサポートセンター)が、短い競技歴ながら日本記録をマークし優勝した。
このほか、男子59キロ級の戸田雄也選手、72キロ級の佐野義貴選手(アクテリオンファーマシューティカルズジャパン)、97キロ級の馬島誠選手、ジュニアの部・男子59キロ級の奥山一輝選手(順天堂大学)、107キロ超級の松崎泰治選手、視覚障がい者の部男子75キロ級の大谷重司選手(パワーハウス)が自身の持つ日本記録を塗り替えた。
観客にも試合の様子をわかりやすく伝えるための試みとして、国内大会で初めてベンチ台の真上にカメラが設置され、スクリーンに力を込める選手の表情が映し出された。その成果もあってか、大会が進むにつれ、観客席からも、バーベルを上げる選手の動きに合わせて、力のこもったかけ声が聞こえてきた。
試合後のセレモニーで、JPPF(日本パラ・パワーリフティング連盟)の吉田進理事長は、「パワーリフティングは動きの地味な競技だが、選手の追い込まれた状況を見るのは非常に面白い。それがもっと伝わるように、これからもいろいろな努力をしていきたい」と述べた。
【文章/一橋新聞、羽衣杉雄】【写真/日本パラ・パワーリフティング連盟】