広報インターン4月京都合宿報告
4月8日から12日にかけて、サン・アビリティーズ城陽(京都府城陽市)で合宿が行われた。合宿にはトレーニングの理論を身につけるため、ワールドパラ・パワーリフティング技術委員長ジョン・エイモス氏を招聘。今回は初日の光景をお届けする。【一橋新聞部・川平朋花】
合宿初日。まずは選手やコーチの自己紹介から始まった。そこでエイモス 氏が尋ねたのは「合宿で何を得たいか。そしてあなたは合宿のために何ができるか」。合宿で得たいものを明確にして臨めというエイモス氏のメッセージが伝わってくる。
エイモス氏は33年間パラ・パワーリフティングに関わってきた。2004年のアテネ、2008年の北京パラリンピックではナショナルコーチを務め、アテネ大会では複数のメダル獲得に選手を導いた。「東京でパラリンピックが開かれるというのは強みであると同時に責任も伴う」とエイモス氏が話すのは、イギリス代表もロンドンパラリンピックの時に同様の、強みと責任を持ち合わせる状況にあったからだ。
[スマートなトレーニングを目指して]
印象的だったのは「ボディビルダーではなくパワーリフターとしてトレーニングしなさい」という言葉。ただ筋肉をつけるのではなく、より重い重量を持ち上げられるように、つまり「スマート」なトレーニングが重要だとエイモス氏は語る。
また、エイモス氏は選手に対して「あなたの障害は何か」というのを積極的に尋ねていた。選手に合ったコーチングをするためには、選手の障害、つまりどの筋肉が使えるのかなどの情報を知っておかなければいけないからだ。例えば、健常者のベンチプレスではセットポジションで肩甲骨を寄せて胸を張り、背中にアーチを作る。しかし、障害によってはアーチを作れない選手、アーチを作らない方が良い人選手がいる。「健常者向けの教科書をそのまま使ってはいけない。障害があるからこそ選手に合わせたコーチングが必須だ」とエイモス氏は話す。
合宿に参加した光瀬智洋さん(24)はパラ・パワーリフティングを始めて約3か月。競技歴は短いが、昨年11月にJSC(日本スポーツ振興センター)が主催した測定会での選考と、適性を見極める追加テストを通過した一人だ。エイモス氏のコーチングを受け、「セットポジションをもう少し考えていこうと思った。自分はアーチを作れないが、後頭部と両肩の3点を意識したい」と話した。
[強い日本チームの実現へ]
日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進会長は、「2020年がゴールではなく、その先も含めた強い日本チームの実現に向けて、選手もコーチもレベルアップしなければならない」と考えており、今回のエイモス氏招聘はその一環だ。パラ・パワーリフティングにおいてコーチの存在は重要で、だからこそ選手のトレーニングだけでなく、意識改革や効率的なトレーニング方法の共有を図った。今年度はあと3回、エイモス氏を招聘する予定だ。
選手とコーチ、連盟が一体となって日本チームの強化に向かい始めている日本パラ・パワーリフティング。今後の合宿、また7月16日のジャパンカップ(福岡県北九州市)でトレーニングの成果が見られることを期待したい。