⑨判定に不満の時は?
パラ・パワーリフティングの成功or失敗の判定にはたくさんのチェック項目があることがわかりました。
(⑧失敗の理由(カラー別) を参照)
しかし、どうしても判定に納得がいかず抗議したい場面も出てくるのではないかしら?
そういう時のために、こんなルールがあります。
◆ テクニカルチャレンジ(抗議)
✓ その試合に出る選手と、その試合で、その選手のコーチと認められた者=(ウォームアップパスを持ったコーチ)が、審判の判定に不服があるときに抗議をするシステム。
✓ 選手自身(またはコーチについている選手)の失敗判定にのみテクニカルチャレンジ(抗議)が可能。ほかの選手の失敗や成功に対しては抗議できない。
✓ WPPO(世界パラパワーリフティング連盟)公認大会で、陪審員がいる場合のみ抗議ができる。
✓ 審判の判定が表示されてから1分以内に陪審員長(President Jury=PJ)に申告する。
(陪審委員長のパソコンで常に1分のテクニカルチャレンジ(抗議)までの時間が表示されるようになっている)
✓ テクニカルチャレンジ(抗議)申告方法
・あらかじめ、アップ場にいるTC(Technical Controller)から、現金100ユーロで「テクニカルチャレンジカード」を購入しておく。
・テクニカルチャレンジカード読み取り機に抗議者がカードを置くと、時間切れの場合は、「タイムアウト」と出て抗議は却下。
時間内の場合は、陪審員長のパソコンで、陪審員4人の判定結果が確認でき、抗議が成功か否かが瞬時にわかる。
・テクニカルチャレンジ以外では、陪審員は互いにどのような判定をしているかは見えないようになっている。
✓ 陪審員は、審判とは別に毎試技、陪審席でジャッジをしている。テクニカルチャレンジ(抗議)が出された場合のみ、陪審員のジャッジが公開される。
(ただし、競技進行は中断されず、陪審のジャッジは、陪審員長(President Jury=PJ)から抗議者へ口頭で知らされる)
✓ テクニカルチャレンジ(抗議)が認められ、失敗判定が成功にくつがえるには、4人の陪審員、全員の判定の一致が必要。
✓ 1人でも失敗の判定をしている陪審員がいた場合、テクニカルチャレンジ(抗議)は失敗となる。
✓ 4人全員の陪審員が成功の判定をしていた場合、テクニカルチャレンジ(抗議)は成功となり、大会結果は修正され、結果とランキングが更新される。
✓ テクニカルチャレンジ(抗議)が成功した場合(審判の「失敗」判定がくつがえった時)は、テクニカルチャレンジ料金は申請者に返却される。
✓ テクニカルチャレンジ(抗議)の結果は、陪審員長(President Jury=PJ)から告げられたものが最終で、それ以上の抗議はできない。
【参照】
WPPOルールブック(最新版) “World Para Powerlifting Technical Rules and Regulations 2018(ver.3)”
P.53 「14.9 Timing and Scoring System (T&S)」 および P.68 「16.6 Technical Challenge」
しかし、審判の判定と陪審員の判定が食い違うことはほとんどなく、抗議が成立する場面はなかなかないそうです。