コラム・動画

カテゴリ

【広報インターン】世界王者ラーマン選手登場! エキシビションマッチ「エレイコカップ」

2017.08.16
コラム


世界王者ラーマン選手登場!エキシビションマッチ「エレイコカップ」


7月27日の朝10時、スポーツ・健康産業の展示会「SPORTEC2017」のイベントステージには大勢の観客が集まっていた。お目当ては107kg超級の世界記録保持者シアマンド・ラーマン選手を迎えてのパラ・パワーリフティングのエキシビションマッチ「エレイコカップ」。ラーマン選手だけでなく、リオパラリンピックに出場した三浦浩選手や西崎哲男選手など国内トップクラスの選手も参加し、会場は熱気に包まれた。【一橋新聞部・川平朋花】



選手の試技は本番さながらの迫力だった。72kg級の佐野選手は141kgを上げ、本人も「(記録が140kgだった)ジャパンカップより調子が良かったかも」。

ラーマン選手は第1試技から260kgを上げ、第3試技では290kgに挑戦。試技の際には選手自身がバーを支えきれなったときのために補助がいるが、290kgともなると4人の補助がつく。会場が見守る中、声を出しながらバーを持ち上げるラーマン選手。その姿に会場がどよめく。しかし惜しくも赤い旗が二つ上がった。なんと失敗の判定となってしまったのだ。これには吉田理事長も「厳しいですねえ」と苦笑いするしかなかった 。

しかしここで引き下がる世界王者ではなかった。ラーマン選手は再挑戦を希望し、休憩もそこそこにベンチ台に横になった。ニコニコと笑っていたラーマン選手の目つきは一変し、完璧に290kgを上げてみせた。これには会場も大歓声。厳しい判定がラーマン選手のスイッチを入れ、結果として素晴らしい試技を見ることができた。



エレイコカップならでは 選手の裏話


試技だけでなく、エキシビションマッチならではの楽しみもあった。ステージに登場した日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進理事長は、競技の説明だけでなく、「三浦選手の登場曲は自分で作曲したものです」、「松崎選手は我々の間では『ミニ・ラーマン』と呼ばれています」と選手の裏話まで話した。競技も選手も知ることができれば、今回のエキシビションマッチ、そして今後の試合をより一層楽しむことができる。

また今回は特別に、判定理由を吉田理事長が審判に聞いていた。もちろん正式な試合では審判に判定の理由を聞くことはできない。しかし、「今のは止めが甘かった」、「胸でバウンドしていた」など、失敗の理由が分かることで初めて見た人にもパラ・パワーリフティングの繊細さが伝わるようになっていた。

質問コーナーでは会場のパワーリフターから、「限界突破の方法は?」という質問があった。ラーマン選手は「ひたすら練習する」、三浦選手は「一度休む」、山本選手は「楽しむことに集中する」など、回答はさまざま。自身も140kgの壁に当たっているという西崎選手は「みなさんの話を参考にします!」と話した。

会場にいたベンチプレスの74kg級世界王者・児玉大紀選手からは、バーを上げるときのスタイルについて質問が。ラーマン選手は「バーに集中して、絶対上げるという気持ちでいる。キロ数は気にしていない」という。技術に言及したのが西崎選手だ。IPCの世界パラ・パワーリフティング技術委員長ジョン・エイモス氏の指導を受け、息を止めて上げる方法から息を吐きながら上げる方法に変えたそうだ。

イベント後、日本の選手の印象をラーマン選手に聞くと、「いい友人。将来性はあると思う」と話した。9月のメキシコ大会では世界記録にチャレンジするというラーマン選手。さらなる偉業に期待したい。


 広報インターン 【一橋新聞部・川平朋花】